赤ちゃんが生まれたら、まずは母乳によって赤ちゃんを育てる…。人類史上、これは不変のこと。と同時に、ママが幸せを感じるのも、この母乳を与える瞬間ではないでしょうか。
ママにとってごく当然のこととしておこなう授乳ですが、そもそも母乳とはどのようなもので、どうして母乳を与えると良いのでしょうか?
赤ちゃんが生まれると、ママの体内には「プロラクチン」というホルモン(催乳ホルモン)が分泌されます。このホルモンが乳腺に流れ込んで作られるのが母乳です。
と同時に「オキシトシン」というホルモン(射乳ホルモン)も分泌されます。このホルモンは、作られた母乳を体外に出すように促します。こうして、体内で作られた母乳を、赤ちゃんに飲ませることができるようになるのです。
母乳は、赤ちゃんにとって完全無欠の栄養食品。ビタミンやミネラルなど、生後すぐの赤ちゃんに必要な栄養素がバランス良く含まれています。
確かに、市販のミルクと母乳とでは、エネルギー量は変わらないかもしれません。では、その違いは何なのか?それはずばり、味です。
母乳は、飲んでいるうちに味が変わっていくと言われています。飲み始めより後のほうが脂肪分が増えていき、しばらくすると赤ちゃんが満足して、乳首から口を離すようになります。
対して市販のミルクでは、最初から最後まで味が変わりません。そのため、最後の一滴まで飲み干すだけでなく、「もっと欲しい」とせがんで泣くことも。そうしてミルクの量を増やしてしまい、その結果、赤ちゃんが太ってしまうということもあるようです。
太らせず、健康に育てるためには母乳が良いという理由には、こんな理由もあるんですよ。
母乳の成分は、「初乳」(出産後の数日間)、「移行乳」(産後約5日〜)、「成乳」(産後約10日〜2週間)と、時期によって異なってきます。それぞれの特徴は以下の通りです。
「初乳」… 黄色味を帯び、少し粘り気を帯びています。タンパク質やミネラルは多いですが、糖分や脂肪は少ないのが特徴です。また、免疫力を高める“グロブリンA”、“ラクトフェリン”という成分を多く含んでいるため、初乳をしっかり与えれば、のどや腸の細胞の免疫力・殺菌力を高めることができます。
“グロブリンA”には、腸から異種のタンパクを吸収させない力もあり、牛乳アレルギーを予防するといった作用もあります。初乳をしっかり飲んだ赤ちゃんは腸内の大腸菌が少なく、ビフィズス菌が多いという研究結果も出ています。
こうした理由から、たとえ後々は市販のミルクを与える予定であっても、生まれてすぐは母乳を与えた方が良いと言われているのです。
「移行乳」… 初乳から成乳に変わる間に出る母乳のことを指します。初乳に比べてタンパク質が減少、代わりに糖分や脂肪が増えてきます。
「成乳」… さらりとした白色に変化。成分的にも、初乳に比べてタンパク質や「グロブリンA」は減り、糖分や脂肪が増加します。初乳よりカロリーが高くなっているので、エネルギー消費が盛んな赤ちゃんにも対応できるようになっています。