搾乳とは、人の手や搾乳器を使って母乳を出すことです。これは、どのママも必ずすることではありません。母乳が出すぎて乳房が張ってしまうために搾乳するママもいれば、母乳が出ないために搾乳するママもいます。産休明けすぐに職場復帰して会社で搾乳するママもいれば、NICU(新生児集中治療室)に入っている赤ちゃんのために搾乳するママもいます。
ともすれば辛い経験になってしまう搾乳。少しでも楽な気持ちでおこなえるように、効果的な搾乳のポイントをご紹介しましょう。
まず、両手をハンドソープで入念に洗います。冬はできるだけお湯を使って手を温めておきましょう。そして椅子に腰かけるか、床に座ります。職場で搾乳する場合はトイレの中で搾乳することもありますが、手が周囲に触れないように注意してください。
搾るのは、対象の乳房と反対側の手です。右の乳房を搾る時は左手を、左の乳房を搾る時は右手を使います。そして、乳輪を親指と残り4本の指ではさみます。この時、乳房にぴったりと当てて押し付けるようにするのがポイントです。それから乳房をややひねるように親指と残り4本の指を近づけて、前に押し出すように大きく揉み出します。
ある小児科医の先生は、「大きなお餅から小さな餅をくびりとるように」と表現していました。うまくイメージできましたか?
なぜ乳首ではなく、乳輪を刺激するのでしょうか?それは、母乳の集まる場所が乳輪の下にあるからです。これは10数個あって、ここを押すと乳腺から分泌された母乳が集まってくるのです。つまむのではなく、乳輪の下を意識して全体を押すような感覚でおこなうと良いでしょう。
一方、搾乳器を使う方法もあります。搾乳器は、胸にカップをあてて母乳を吸引させるグッズで、手動と電動の2種類があります。メーカーによって使い方や仕様は異なりますが、吸引力が強すぎて痛かったり、カップがなじまなくて吸引しにくいなど、相性の良し悪しがあります。あらかじめ、先輩ママやインターネットの口コミである程度リサーチしてからの購入をおすすめします。
どの搾乳器でも、上手に搾乳するコツは共通しています。まず、カップと乳房を密着させて隙間を作らないこと。そして、左右の乳房を交替することです。中には1時間も搾乳しなければならず、しんどいママもいます。少し休憩をはさむと精神的にも余裕が出て疲労度が軽減するので、休み休みすることも大切です。
搾乳した母乳は、冷蔵庫や冷凍庫で保存できます。母乳には殺菌作用があって、24時間は持続します。そのため、冷蔵庫なら24時間、冷凍庫なら5日は持ちます。とはいえ、夏場はもっと早めに飲ませたほうが良いでしょう。雑菌の繁殖を防ぐという観点から、いずれの場合も飲み残しは必ず捨ててくださいね。